同じ人が同時期に複数の疾患にかかることがあり、多疾患併存と呼んでいます。しかし、どの疾患を併発しやすいかには、集団によって異なることが知られていました。たとえば、慢性閉塞性肺疾患は欧州系の集団では肥満症や脂質異常症と合併することが多いのに、東アジア系ではやせている傾向があります。
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研究成果のご紹介
2025 内分泌代謝 心疾患・脳血管 呼吸器
2025 内分泌代謝 心疾患・脳血管 呼吸器
同じ人が同時期に複数の疾患にかかることがあり、多疾患併存と呼んでいます。しかし、どの疾患を併発しやすいかには、集団によって異なることが知られていました。たとえば、慢性閉塞性肺疾患は欧州系の集団では肥満症や脂質異常症と合併することが多いのに、東アジア系ではやせている傾向があります。
2025 その他
2025 その他
ワクチンを接種することで病気を防ぐことができますが、その効果には個人差があることがわかっています。このような効果の違いの原因を明らかにすることは、より効果的なワクチンの開発や接種方法を考える上で、とても大切なことです。東京大学、慶應義塾大学などの研究グループは、COVID-19ワクチンを接種した人たちの効果と、生まれつき持っている遺伝子の違いとの関係を詳しく調べるため、2,096人のワクチン接種者を対象に、約900万か所の遺伝子多型 をゲノムワイド関連解析で調べました。
2025 骨・結合組織
2025 骨・結合組織
関節リウマチは、本来は自分の体を病原体などから守る免疫が誤って自分の組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種で、生まれつきの体質と生活環境の両方が関係すると考えられています。最近、日本では、高齢(60歳以上)になってから発症するタイプの関節リウマチが増えています。若い人に多い関節リウマチと比較すると、高齢発症タイプでは男性に多く、肩や膝などの大きな関節が痛みやすいという特徴があります。そのため、高齢発症タイプと若年発症タイプでは、関節リウマチになる原因が違うと考えられてきましたが、これまで詳しいことは、わかっていませんでした。
2024 がん その他
2024 がん その他
腫瘍抑制遺伝子は、細胞の増殖を抑えたり異常を修復・排除することで、がんの発生を防ぐ「ブレーキ役」として働きます。PTEN遺伝子もその一つで、この遺伝子に生まれつきの病的バリアントがあると、高い多発性がん発症リスクを特徴とする「PTEN過誤腫症候群(PHTS)」と呼ばれる遺伝性疾患を発症するリスクが高まります。
2024 がん
2024 がん
肺がんは、たばこを吸うことが一番の原因とされていますが、実は肺がん患者の約4人に1人は、たばこを一度も吸ったことがない非喫煙者です。特に東アジアに住む非喫煙者の女性では、肺がんのタイプの一つである肺腺がんになる人の割合が高く、EGFRという遺伝子に変異が起きると、肺腺がんが生じやすくなることが以前から知られていました。EGFRは、細胞の表面にあるタンパク質の一種で、細胞が増えたり、古くなった細胞が自然に死んだりするのをコントロールしています。
2024 その他
2024 その他
これまで日本人集団の遺伝的起源は、先住の狩猟採集民である縄文人と弥生時代の北東アジアからの移住民と考えられてきましたが、最近の研究では、それら2つの集団に、古墳時代の東アジアからの移住民を加えた3つの集団に由来すると考えられています。しかしながら、多様な日本人集団のどれもが、3つの祖先集団からなるという説に当てはまるのか、という点については明らかにされていませんでした。
2024 その他
2024 その他
多くの遺伝子がかかわる疾患に対して、個々の遺伝子の関与の強さを考慮しながらリスクをスコア化するポリジェニック・リスク・スコア(PRS)の研究が近年、盛んになっています。一方で、体外受精で得た受精卵(胚)のゲノムを解析し、疾患や身長などのPRSを算出して、好ましい胚を選べることをうたうサービスが海外にはあります。PRSには複数の計算法があり、研究者ごとに使う手法が異なるのが現状です。PRSによる胚の選択の妥当性を検証しました。
2024 婦人科系
2024 婦人科系
骨盤臓器脱は、子宮や膀胱などの骨盤内臓器が腟から出てしまう女性特有の症状で、軽症例を含めると出産経験がある女性の約4割が発症するといわれています。これまでの研究では、リスク因子として、経腟分娩、加齢、肥満、子宮摘出術などに加え、遺伝とのかかわりも指摘されていました。
2024 心疾患・脳血管
2024 心疾患・脳血管
冠動脈疾患や2型糖尿病は生活習慣病ともいわれ、その発症には遺伝要因と生活習慣が関係していることが分かっています。近年、疾患の遺伝的なリスクを測るのにポリジェニックリスクスコア(PRS)がよく使われています。一方、生活習慣が関わるリスクとしては、不健康な食生活、喫煙、運動不足やストレスなどがあげられます。しかし、遺伝的リスクの高さと生活習慣の改善による予防効果の高さにどのような関係があるのかはわかっていませんでした。
2024 心疾患・脳血管
2024 心疾患・脳血管
副腎からのホルモンであるアルデステロンが過剰に分泌される「原発性アルデステロン症(PA)」は、原因が特定できる高血圧のなかで一般的な原因となっています。また、この疾患は冠動脈疾患、うっ血性心不全、脳卒中などの心血管疾患と関連があると報告されています。しかし、因果関係については明らかになっていませんでした。
2024 その他
2024 その他
女性の細胞にはX染色体が2本ありますが、男性には1本しかありません。この男女でのX染色体の本数の違いは、X染色体にある遺伝子からつくられるRNAやタンパク質の量(発現量)の違いにつながります。これを補正するために、女性やメスの細胞では、どちらかのX染色体がはたらかなくなる「X染色体不活性化」ということが起きています。ただ、X染色体にある遺伝子の約10〜20%では、X染色体不活性化が不十分で、部分的に発現していることも知られています。これが「X染色体不活性化(XCI)からの逃避」と呼ばれる現象です。これが実際につくられるタンパク質などの量の違いとなり、一部の疾患での発症の男女差につながっていると考えられています。
2024 眼科・耳鼻科
2024 眼科・耳鼻科
緑内障は日本の視覚障害の原因の第一位で、ある調査では40歳以上の約20人に1人という有病率の高さが見られました。緑内障にはいくつかのタイプがありますが、一般に多いのは軽度の眼圧上昇に加え、視野障害の進行も比較的ゆるやかな「原発開放隅角緑内障(POAG)」です。その発症には眼圧や近視といった眼科的な要因に加えて、遺伝的な要因もかかわっていることがわかっていますが、アジア系集団を対象として遺伝的ななりやすさを調べた研究はあまりありませんでした。
2024 婦人科系
2024 婦人科系
妊娠はするものの、流産や死産を2回以上繰り返して赤ちゃんが得られない状態を「不育症」と呼んでいます。原因としては、カップルのどちらかの染色体異常、受精卵の染色体異常、子宮の形などが挙がりますが、不育症のおよそ半分は原因不明です。また発症のメカニズムも十分にわかっていません。
2024 心疾患・脳血管
2024 心疾患・脳血管
高血圧は食習慣などの要因と遺伝要因の両方がかかわっており、遺伝要因も非常に多くの遺伝子がかかわっていることが知られています。約1万人の日本人を対象とした追跡調査研究から、遺伝的リスクの高い人は心血管疾患による死亡リスクが高いこと、その一方で、禁煙やお酒・塩分を控えるといった生活習慣の改善による予防効果も大きいことがわかりました。
2024 内分泌代謝
2024 内分泌代謝
糖尿病は日本のみならず、世界でも患者数の多い重大な病気です。全世界の患者数は2021年の時点で5億2,900万人で、2050年には13億1,000万人を超えると予測されています 。これまでの研究から、糖尿病の発症には生活習慣だけでなく、遺伝的なリスクが関係していることがわかっています。また、家族に糖尿病の人がいるかどうかという家族歴も糖尿病の重要なリスク因子の一つと言われています。